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【Netflix映画】「Thi Mai」でスペインの養子縁組文化を知ろう

¡Hola!

去年行ったベトナム旅行の余韻に未だに浸っているチカ(@Chica_espana0)です!

チカのアイコン画像チカ

今日のテーマは「Netflix映画Thi Maiでスペインの養子縁組文化を知ろう」


映画のタイトルは「Thi Mai」、ベトナムを舞台としたスペイン映画です。

Netflixで公開されて以降話題のこちらの映画、スペインで盛んな「国際養子縁組」をテーマとしていて面白い!!

今日は「世界で3番目に養子縁組が盛ん」と言われるスペインの実態を、映画の物語に基づきながら紹介していきます♪

早速レッツゴー!!



目次

Netflix映画「Thi Mai(ティ・マイ)」とは?

まずは映画の紹介から。

Thi Mai(ティ・マイ)の概要

cineuropa
  • スペイン語題名:Thi Mai, rumbo a Vietnam
  • 邦題:ティ・マイ~奇跡のベトナム~
  • 制作国:スペイン
  • 発表年:2017年



監督はPatricia Ferreira。

主演はあのOcho apellidos(オチョ・アペジードス)シリーズにも出演しているCarmen Machi

Carmenは映画の中でもいつも芸名と同じ「Carmen」という名前の役を演じることで有名ですよね。

もちろん今回のThi Maiでも演じる女性の名前はCermenです!(笑)

Carmenの友達で、少し時代遅れな主婦を担当するのはAdriana Ozores

一方、同じくCarmenの友達で、バリバリのキャリアウーマンを演じるのはイタリア出身のAitana Sánchez-Gijón

そして3人が旅先で出会うお兄さんが、我らの一流コメディアン、Dani Rovira

正直私はDaniが好きすぎてこの映画を見たと言っても過言ではないです(笑)



Thi Mai(ティ・マイ)のあらすじ

娘が急逝し、悲しみのふちに突き落とされた母親(Carmen)。ある日、娘が生前に準備を進めていた養子縁組が正式に決定。養女を迎えに、親友2人とともにベトナムを訪れる。

Netflix概要欄より



Netflixの概要通り、冒頭でいきなり娘を亡くしてしまうCarmen。

勤め先の銀行から早期リストラを言い渡されたElviraと、いつも空回りの天然主婦Rosaを連れて、亡き娘の養子Thi Maiが住むベトナムに行く決心をします。

しかしこの3人、皆どこか抜けていて行く先々でトラブル続き。

早速ベトナムの入国審査で躓いて困っているところを、彼氏を追いかけてマドリードからやってきたゲイのAndrésに助けられます。

4人でどうにか力を合わせて、ベトナム中の要人に体当たりで交渉を試みるけれど、果たして娘の養子を引き取ることが出来るのか…??

友情あり、失恋あり、美味しいベトナム料理あり、逮捕あり、家族愛ありの爆笑コメディ!!




映画の要「国際養子縁組」



Thi Mai(ティ・マイ)を語るにあたり、避けては通れないテーマが「国際養子縁組」!

国際養子縁組とは、

「養父、養母、養子のうちいずれかでも外国籍の場合、また養父、養母、養子のいずれもが日本国籍であっても外国でなされるものが、国際養子縁組。 つまり、当事者全てが日本人で、かつ日本国内でなされるもの以外」

小野寺法律事務所



噛み砕いていうと、「外国」から養子を迎えたり、「外国」で養子縁組をすることを指します。

日本ではまだまだ数は少なく、2000年の時点でも国際養子縁組に関係した児童はわずか534人(普通・特別養子縁組含む)とされています。

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2001年以降の正確な数値は外務省でも把握されていないよ





国際養子縁組大国、スペイン



一方、養子縁組全般が盛んなスペインでは、人口当たりの国際養子縁組の件数が世界でなんと3番目に多いと言われています。

1998年から2011年の間にスペインで養子縁組をした児童は計6万人以上!

このうち24%が中国、20%がスペイン、19%がロシアから受け入られた子供たちでした。

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自国の子供以上に外国人を沢山受け入れているよ



それもあってか、マドリード州の「養子縁組」のページを開いてみると、最初に出てくるのはアジア圏の子供たちの写真。

スペイン国内での養子縁組以上に、アジアや中南米からの国際養子縁組の情報を沢山見ることが出来ます。

Comunidad de Madrid



スペインに一度でも滞在したことがある人なら、現地で「小さい頃外国から来てスペインで養子になった」と言う人に会ったことがある人も多いのでは?

又は、スペイン人の知り合いがいれば、彼らに「外国から来た養子に会ったことがあるか」と聞けばほとんどの人が「もちろん」と答えることでしょう。

両親と見た目やアクセントが大きく異なる国際養子縁組の場合、自分たちが養親または養子であることにオープンな場合がほとんど。

彼らにとって、国際養子縁組は(少なくとも日本よりかははるかに…!)一般的なのです。



スペインで国際養子縁組が人気な理由

そもそもスペインでは、養子の国籍に関わらず養子縁組全般が盛んに行われます。

その理由の一つとして、養親になれる人のハードルが比較的低いことが考えられます。

スペインでは婚姻関係にある夫婦はもちろん、籍は入れていないものの事実婚状態のカップル、同姓カップル、条件を満たした独り身の人等、幅広い人々にチャンスが与えられています。

そのような状況の中で国際養子縁組は、

  • 貧しい国の孤児たちを救うことが出来る
  • 国内の子供に比べ、受け入れまでにかかる時間が比較的短い
  • 子供たちの年齢が比較的低い



等の理由から、国内養子縁組以上に希望者が増え、広く社会に定着してきました。

特に養子の年齢は、新しい環境への適応のしやすさ、受け入れの成功率の高さなどから養親にとって重視されることが多いようです。

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国際養子縁組の方が養親と養子のニーズがマッチしやすいということ!





スペインで受け入れが盛んな国籍

El Mundo



かつてはスペインで養子となる子供たちの半数近くが中国人で、2005年には実に2800人以上がスペインの家庭に受け入れられました。

その次に多いのがロシア、ウクライナ、ブルガリアなどの旧ソ連構成国・および衛星国で、その合計は中国からの受け入れ件数に匹敵しています。

アフリカ大陸からの受け入れも多く、2013年にはエチオピアなどから283件。

同じスペイン語を母語とする南アメリカ大陸からの受け入れは、全体の割合から見ると意外と少なく、2013年は南北アメリカ大陸合わせて66件のみの受け入れとなりました。

El Mundoから引用したグラフからも見て取れるように、毎年ベトナムを含むアジア圏や、旧ソ連系のヨーロッパ諸国から多くの子供たちがスペインで養子に迎えられています。

全体の傾向として、スペインより経済レベルが低い国からの受け入れが多いのが特徴です。

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映画Thi Maiでは、養親がスペイン人、養子がベトナム人のパターンの国際養子縁組だったよ





どうやって国際養子縁組をするの?

映画の中では、主人公Carmenの娘がマドリードにある仲介団体を通してベトナム人の子供を紹介してもらっていましたよね。

実は、スペインにはこのような国際養子縁組の窓口が沢山あるのです。

受け入れる子供の国籍に合わせて必要書類を用意すると、斡旋機関がその人に合いそうな子供たちを探し出してマッチングさせます。

この際注意しなければいけないのが、仲介だけでも数年かかるということ。

映画のように子供がベトナム人の場合、2,3年は待つ必要があります。

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Thi MaiでもCarmenが「紹介まで2年かかった」と言っていたよね



現在スペインでは30000家族近くが養子縁組を希望していると言われていますが、実際に成立しているのは年間1200件ほど。

スペインで養親となる家族が示す条件と、実際の子供たちの状態が合う、数少ない場合にしか養子縁組は成立しないのです。

さらにもう一つ注意するべき点が、国際養子縁組にかかる費用。

スペイン人がベトナム人を受け入れる場合、最終的に24.000€(日本円にして約300万円)かかると言われています。

その後も公的機関が定める養親の条件を満たし、数々の講習を受けるとようやくベトナムの孤児院へ招待され、子供と対面することが出来るのです。

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映画ではCarmenと他のスペイン人家族が団体でベトナムのハノイに子供を迎えに行っているよ




スペインでの国際養子縁組の問題点

養子にとっても、養親にとってもメリットが多い国際養子縁組。

受け入れが上手くいけば、養子たちは経済的に安定したあたたかい家庭に恵まれるだけでなく、スペイン国籍をはじめ様々な権利を享受することが出来ます。

しかし、全てが全てうまくいくとは限らないのが現実。

スペインでは近年、国際養子縁組に関する様々な問題が浮き彫りになってきています。

「返却」される子供たち

2018年のEl Mundoの発表によると、1996年から2016年の20年間で、約1400人もの子供たちが受け入れ後に養親から関係を解消されられてしまったとされています。

その原因として、現地仲介機関が提示する子供の情報と、実際の子供の状態に乖離があることが挙げられます。

例えば子供の年齢。

前述した通り、子供の年齢は受け入れ後の新しい家庭への順応度に直結するため、出来るだけ幼い子供を望む養親が多いのが現実。

しかし反対に、現地の仲介機関は多くの子供たちを海外に送り出すため、子供の年齢を偽って提示し、スペインで受け入れ後に発覚するケースが相次いでいます。

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サラゴサではインドからの13歳の養子が7歳だと偽って連れてこられた事例があったよ



このように情報に乖離があった場合、スペインの養親は「仲介機関に騙された」と感じて子供を手放してしまうこともしばしば。

最終的に受け入れを白紙に戻されるケースは、全体の2%にのぼると言われています。



不透明な仲介の構造

さらに、もう一つの問題として、複雑な仲介の構造によるシステムの不透明さがあります。

どうして仲介に何年もかかるのか。

どうして何万ユーロも支払わなくてはいけないのか。そしてそのお金はどこに消えていくのか。

実際にロシアから子供を受け入れた経験のあるSusana Ramosさんは、自書の中で「孤児院に払うべき5.000€(約60万円)がロシアの弁護士の取り分になっていた」と証言しています。

スペインでの仲介窓口、政府機関、現地での仲介機関、政府機関、孤児院…など、関わる機関の数が膨大な国際養子縁組では、全てのステップを把握することは難しいとされています。

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映画の中でも、複数のブローカーや政府機関が仲介に関係していたよね



新しい家族を求める子供と、子供を求めるスペインの家族が本当の意味で幸せになれるようなシステムの構築が急がれています。



まとめ

映画Thi Mai(ティ・マイ)を通してスペインでの国際養子縁組の実態を紹介しました。

難しそうなテーマに反して、映画自体はスラング連発のコメディタッチなので気軽に見ることが出来ます。

スペインの社会や国際養子縁組、そしてスペイン人から見たベトナムの印象を知りたい人は、是非Thi Mai(ティ・マイ)を見てみてくださいね!

とにかくDaniが面白いのでおすすめです!

このサイトでは、スペインの文化やスペイン語、留学、国際恋愛に関する情報を発信しています♪

是非他の記事も読んでみてくださいね!

ではではまた会いましょう!Chao!

参照元:小野寺法律事務所外務省El Mundo[1]El Mundo[2]Comunidad de MadridEl Diario VascoAdopción MadridVietnamiitas en Madrid


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